羽田JAL/海保機事故について

航空機

あってはならない事故でした。

まずは能登地震への救援活動任務中に殉職された海上保安官の皆様のご冥福をお祈りします。

また、機体炎上という状況下、350人を超える乗客乗員全員を無事脱出に導いたJALクルーの皆さん、素晴らしかったです。

キートス、定期航空のパイロットや管制官の必須資格である航空級無線通信士の資格保持者であり、航空管制についてはかれこれ45年ほど受信経験があり、管制官採用試験を受けた経験もあります。

そんな経緯もあり、航空の安全についても人一倍関心があります。

各種報道や、LiveATC(ネット上で航空管制の受信データを聞くことができ、アーカイブもあります。)の記録を見聞きする限りでは、現時点、着陸許可を得ていたJL516に対し、ランウェイ34Rへの進入許可及び離陸許可を得ていない海保JA722Aが、ランウェイに進入してしまったことが一義的な原因であることは否定できないと思います。

ただ、それだけをもって事故原因として、責任を海保(大やけど重症の機長をはじめとする)を負わせて終了。。。でいいんでしょうか?

同様の悲劇が繰り返されないようにするにはどうあるべきなのか。

現に、警視庁は業務上過失致死傷の疑いで捜査(まあいつもそうですが)とあります。

管制指示の取り違え・・・が直に事故にならない様、2重3重のフェイルセーフが働いているはずなのになぜ事故が起きたのか。あまり積極的に報道されていませんが、キートスは疑問でいっぱいです。

①海保機への最終指示「taxi to holding point C(チャーリー)5」。古くは「hold short of runway 34R」として明確な指示になっていました。その後「taxi into position and hold」今のICAO規則では「line up and wait」の指示を経て、滑走路に進入、「cleared for take off」(離陸支障なし=離陸許可)をへて離陸を開始するのですが、新しいICAO管制用語が誤解を招いたのか、滑走距離が短いこと(滑走路の端までいかなくても離陸可能)、救援機優先離陸の意があった等で途中から(C5)の離陸になって、齟齬が生じたのかわかりません。離陸許可をもらっているつもりだと、滑走路に入る前の目視確認はしてないのか?したとしても羽田の超過密運用だと、危険かどうかなんて、JL516が着陸してくるからなんて数珠繋ぎのランディングライトしか見えないんだから無理もないかも。「No1」て表現も誤解を招いた?

②JL516も「cleared to land」(着陸支障なし=着陸許可)をもらっていて着陸操作を行ったわけだけど、滑走路上に海保機がいたということは「clear」支障なしではない!のだから目視で発見しゴーアラウンドすべきなんだけど、見えていない。見ていないのか、①と同じように見えなかった、のか。夜間の羽田超過密運用だったら田舎の空港とは違って誘導灯が多すぎて飛行機としてのシルエット・衝突防止灯の区別ができなかったのか?基本の目視危険回避はできなかったのか?

③なんとC5に設置されていたストップバーライト(電車の踏切と同様、滑走路使用中だと赤ライト線が表示され、滑走路に進入OKとなるとライトが消える仕組み。タワーの管制官が手動で操作する由)が長期間にわたって故障中だったという事実。もっとも、この運用は規則では必須でなく使わなくてもいいということらしく、故障していなくても、「夜間でも!」当時のような視界良好(昼じゃないぜ)時は運用しないんだそうな。(と新聞には書いてある)ICAOはストップバーライトの設置、運用は事故防止に有効って勧告してるんだってけど、天下の羽田空港は運用きまぐれ?故障放置?予算不足?何やってんだ?①の誤解にもつながってるかもしれん。赤く点灯してなきゃ、滑走路進入OKってわけだもん。

④タワーの管制官、飛行場管制(主に滑走路中心に半径5マイル、9kmの範囲の離着陸を管制する)は基本目視で滑走路、航空機を視認、認識しながら管制をするんだけど、JL516に着陸許可を出したあとに、なぜか離陸許可を出していない海保機が滑走路に進入したのを目視で発見して、JL516にゴーアラウンドの指示をしなきゃいけないはず。だって「clear」支障なしじゃないじゃん。それが管制ってことでしょ?でも見てないんだか、気づかなかったんだか、やっぱり羽田超過密運用でよく見えないんだか?そのあたり、交信記録しか出てこないっておかしくね?百歩譲って悪天候で目視がきかない時でも、地上監視レーダーってのがあって、各航空機の地上での動きをレーダーでリアルタイムに見れるんでそれでも海保機の誤進入は見えてたはず。個人の趣味でもフライトレーダー24でほぼリアルタイムで各航空機の動きが自分のPCで見えちゃう時代、プロの管制官が見てないってどうゆーこと?これもどうも予算不足らしいんだが、即日専任をアサインすることにする、って報道されたけど。管制官の誰かが割り食って休みが減っちゃうんだろうけど。

などなど、まだまだ疑問いっぱいだし、情報隠してんのかなって勘ぐっちゃう。

空港の運用、航空管制をつかさどるのは国交省、海上保安庁を管轄するのも国交省。これも微妙だな。

何が言いたいかっていうと、事故が起きてしまったことは悲しい事実だけど、そこから教訓を学び、2度と同様な事故を起こさないためにはどうすればよいのか?

これが一番大事なことだと思います。

誰のミスなのか?犯人捜しをして責任を負わせること(これはこれで重要なことだということは否定しないが)をしだすと、関係者みな保身に走って口を閉ざしてしまう。当たり前だよね。

日本は鉄道事故でも航空事故でもすぐ「犯罪(業務上過失)捜査=責任の所在を決める」になってしまいます。諸外国は違うんだよね。

事故を繰り返さないために、何ができるか?その観点で関係者に事実を話してもらってそれを分析して事故防止、改善につなげる。そのためには事故関係者、当事者の免責もあり。アメリカの事故調査委員会はそういうスタンスです。

日本でも、事故防止の観点第一での調査が普通になっていくことを切望します。①~④他の疑問もすべて明白に調査されて、改善策がとられたうえで、人為的責任が

発生するのであればしかるべき処分はそれから。誰かに責任を負わせたところで、それそのもので事故が減るわけじゃない。複合的な要因すべてを洗い出して、対策を

地道にとっていくことが必要なのかと思います。

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